>>149【続き】
本編最後の曲を前に、「音楽というものは時間や時空、様々なものを超えていくことができる装置なんだ、ということを改めて感じました」と語り始めた福山。「ある曲を聴いた時は気持ちが過去に戻ることもできるし、更に、未来に気持ちを持って行くこともできる。今現在すごく遠くにあるもの、地球上に存在している、行きたいけどなかなか行けない場所、逢いたいけどなかなか逢えない人に対する想いであるとか…そいう対象に対して過去・現在・未来へと時空を声ながら想いを馳せることができるのが音楽の力なんだと。その“想いを馳せる”という行為の美しさを、今日はこの全曲バラードライブで表現したかったのかな?と」。
このライブの深部を貫くテーマを言葉にすると、ラストは、コアファンに根強く愛し続けられている「あの夏も 海も 空も」を披露。パイプオルガンの音色が厳かに響き、人差し指を立てた右手を高く掲げた福山は、力強く歌い始める。失われてしまった時間を嘆くのではなく、大切な想い出として封じ込めた切なくも眩いバラード。ストリングス、ホーンセクションが多層的に絡まり合い、深い感慨を呼び起こすのだった。