>>460【続き】
まずビジュアルコメンタリーでは、4人が映画の注目すべき場面をいくつかピックアップして語っているのだが、自然と福山が話を回しているのが面白い。福山の質問はどれも的確で、視聴者目線を代弁した上で監督の演出や俳優の芝居の意図を丁寧に解きほぐしていく。
たとえば、西谷監督がセレクトしたのは物語冒頭。ステージで熱唱する佐織の姿を見つめる商店街の人々の描写を通して、佐織の人生と、彼女を取り巻く人々の姿を矢継ぎ早に見せていく演出意図や編集や色彩について福山が監督に質問した後、テレビドラマと映画の演出意図の違いについて深堀りしていく。
逆に柴咲が選んだ「湯川学と内海薫が再会する場面」における所作や表情に関する解説や、北村の選んだ、娘を失った父親を演じる飯尾の背後で、母親役を演じる戸田菜穂がみせる芝居を絶賛する視点は、俳優ならではのものだと言えるだろう。ふだん俳優が、他の俳優の芝居をどう見ているかが伝わる貴重な証言である。