>>486【続き】
このわずか2分間で、皆実は目が見えないが、嗅覚、聴覚や洞察力、判断力に優れている人物で、格闘技経験者にも対抗できる腕力を持っていることが分かる。トラブルにも動じず、取り調べ中にそばの出前を注文するほどに図々しく、なにより一筋縄ではいかない、変わり者であるらしいこと一気に示される。
その後、チャーターしたヘリで警察組織の幹部、政治家らが待つ式典に降り立ち、バディを組む護道心太朗(大泉洋)にエスコートされてレッドカーペットを歩く。その颯爽たる姿は、まさに第1話のタイトル「新時代のヒーロー」の誕生にふさわしかった。
このシーンをこれほどかっこよく演じられる役者はそうはいないだろう。“あの”福山雅治の、帰還を祝福するようでもあり、このドラマのスケールの大きさも予感させる幕開けだった。
また、この派手な登場は、自分自身が目立つことで人を励ます存在になりたいとする皆実の姿勢の表れであると、のち(第4話)に明かされる。
「多様性の時代にマッチした宣伝要員」と揶揄されながらも、それを受け入れ、ときに逆手に取る。自分にできることを提供し、できない部分は人に助けてもらう。それは皆実が、社会のために自分の力を発揮するには、目になってくれる人の助けが必要であると痛いほど分かっているからである。