【ワシントン=山田哲朗】米国家防諜ぼうちょう局が3日、議会への報告書で、
サイバー攻撃などによるスパイ活動の主要な「犯人」として中国やロシアを名指ししたのは、
重要な産業情報や軍事情報が次々と漏えいしている状況に警戒を呼び掛ける意味がある。
多大な研究開発費を投じ、知的財産で利益をあげてきた米国の優位が、
「安く早い」(報告書)ネット上のスパイ活動により揺らぎかねないためだ。
報告書は、2009年から11年までに把握した経済スパイに関する情報を
関係機関や民間企業から集めて作成された。
08年の前回報告書と異なり、スパイ要員による伝統的な情報収集から、
「膨大な量の情報を素早く、少ないリスクで集められる」というネット上のスパイ活動に分析の重点を移した。
報告書は、中国は「早く追いつき追い越す」との政策のもと、技術開発で米国などを逆転することを狙っていると指摘。
その「象徴的な計画」として、米国の技術や経済機密を秘密裏に取得することをめざす
「プロジェクト863」の存在を明示している。
その上で、最近判決が出た7件の経済スパイ事件のうち6件が中国関連だったと指摘した。
米メディアは09年だけで経済スパイによる米国の損害は500億ドル(約3兆9000億円)とする推計を伝えた。
(2011年11月5日10時04分 読売新聞)
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