>>487【続き】
400ページ以上ある調書を4倍速以上で速聴し、遺体に触って死亡推定時刻をズバリと当てる。わずかに残った火薬やインクの匂いを嗅ぎ取り、音の反射で周りの環境を把握することができる。超人的なスペックを持っていても、一人では戦えない。だから、能力を持って力づくで認めさせようとはしない。人の助けを借りるために、例えば鑑識のヤジさんこと、矢島建夫(川瀬陽太)とキャバクラで仲を深めるような、人間味によって関係性を構築しようと努めている。
第1話で「一人で勝手に突っ走ってヒーロー気取りがしたいなら、アメリカでやってください」と佐久良円花(吉田羊)に責められると、「一人でなんて無理です。佐久良班の皆さんが爆破装置を設置した犯人を捕まえてくれたおかげです。ありがとうございました」と素直に頭を下げることもできる。
佐久良はこれを「人たらし」と評するが、まさにこの点がこれまでの孤高のヒーローとは違う、令和らしいヒーローの在り方であり、気がつけば私たち視聴者もすっかりたらし込まれている。 だからといって、障がい者は助けてもらうだけの弱者ではない、ということも同時に強調されている。
「私は多くの人に助けられて生きてきました。不必要な人間なんていないんです」と第1話で連続爆破事件の首謀者・渋谷英輔(宮沢氷魚)に、こう諭すシーンがある。